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【書評】教育格差 [読書]

ちくま新書から出ている松岡亮二氏の「教育格差」を読了しなんとなく感想をメモ。



とりあえず全体の感想や褒める感想はこれにまとまった感じだけど、

・統計をやっている身として読んでいて思ったこととして、実データのくせにかなり相関がはっきり出てるのは割とビビる
・分析の内容は大半が相関係数とその二乗の決定係数で、読んでる感じあんまり推測統計みたいな話は出てこなくて、その辺は読みやすい難易度になっている感じ。
・とはいえ相関なので因果には殆ど踏み込めない、という点にも研究者らしくしっかりと慎重な姿勢を本書の中にも記していて、そこは安心できた。こんなに相関で話をしてて因果を振り回してたら流石にビビっていた。でも仮説としてSES(の格差)が教育格差を生み、それがまた再生産されていくといった感じのメカニズムを想定しているので、方向性をなにも示唆してないわけではないねって感じで読んだ。誤読してたらすみません。


・ネガティブ目な感想を言えば、どうしても社会全体の傾向に関する考察の本なので、
個人がどうすればいいのかという対処法に関しては明確に示されてはいない感じで、普通の人が読んでも「えーじゃあどうしよ」みたいになるなって思ったところ。まあ深く読めていないせいかもしれない。ちなみに自分として確認できた具体的なノウハウは、「とにかく模試を受けろ」という指示は学校間の学力格差に気づくための1つのノウハウとして理にかなっている事くらいです。本書の最後の方で「地域の大卒率を調べておいてそこに引っ越す」みたいな戦略を読んで、「なるほどそうやって生かすのかよ」とは思いました。及ばねぇ・・・。もうちょい現実的な対処について世間一般に案内できればgoodだと思うが、それはまぁ難しいか・・・。

・後はやっぱり教育社会学の本を読んでいると、どこにでも本田由紀氏が出てくる笑

自分が最初に教育社会学(もしくはその周辺領域)の授業に触れたのは大学2年の冬で、そこに現れた本田由紀氏の授業のインパクト、もとい、社会の暗い面をひたすら提示していく授業内容により、失望して就活をその時点で放棄する直接のきっかけとなった存在であり、卒業後不定期に教育社会学系の本を読むたびにどこかしらに名前が出てくる本田由紀氏は、自分にとっては勝手に因縁浅からぬ存在になっている。


・・・脱線したけど、とりあえず読んでおいて損は無し。

親・教師・家庭教師・塾講師、如何なる立場であれ、教育に携わる者はすべからく読むべき本である。
目の前の一個人を超えて教育を考え、語ろうとするなら必ず出発点にされるべき認識であることは間違いないし、目の前の一個人を考えるときも、心の片隅にはおいておいて損はない視点であるだろう。


はい、今日はここまで。次は何の本を読むかな。




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ノンデザイナーズ・デザインブックの感想 [読書]

・総評
読んで良かった。当たり本。

・総評の理由
①デザインという言葉が美術・芸術的な要素と強く結びついていると思っていた自分の思い込みを変えてくる、むしろ論理的な、より良いデザインの考え方を学べること。
デザインに関して明確な根拠で良い・悪いという判断が可能な事自体を初めて知ったし、その方法の一端についても学ぶことが出来た。
②内容が実践的で、日常のいろんな場面で反芻することができること。


・読んでるときの反省
kindleで読んでることも相まって、本の中に出てくる課題への取り組みが不完全になりがち=頭の中でイメージで処理するだけになってしまう。解答がついているのが幸いで、どこを直すかの指摘は言語化できる内容であればある程度カバーできるけど、頭の中の考えと実際の完成した状態のギャップが存在する場合があると思う。

・分かったこと
①同じ内容でも配置・レイアウト・フォントなどを変えることで伝わる効率がまるで変わってくる。
②「中央ぞろえは弱い印象を与える」みたいなデザインと知覚に関する知識が存在する。
③美的センスというよりも全然別のものだった



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