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家庭教師をしていて思ったこと [考え方]


こんばんは、少し日が空いての更新。
今日は家庭教師をしていて思ったことがあるのでメモしておきます。


家庭教師は1件だけですが、11月から持っています。
担当しているのは高校生で、彼は前回のテストで赤点が3つも出て進級がピンチという状況で僕がやってきました。

僕に課せられたのは当然のごとく、次回の定期テストで危なげない点数を取り留年を回避することです。


 定期テストと定期テストの間は1ヶ月~2ヶ月程度、その間に学力をきちんとつけるにはある程度日常的に学習を積む必要がありますが、生徒の彼(Y君としておきましょう)は、僕とY君の母親との間では共有されている危機感が共有されていません。お母様の再三の言葉は虚しく響いているようです。
 テストは3月の頭です。僕の方は結果が残念であればクビになるでしょう。
それがビジネスとしては当然です。ただ、いくら僕がいい指導をしても、最終的にはY君が必要な量の自習をしてくれないと実力は全く付かないし、ほかの科目でコケてしまってもお話になりません。それは僕もすでに先方には共有済みです。一種のセルフハンディキャップというやつです。

 家庭教師の僕がテスト前に教えに行くのはあと1回です。たった90分の指導でどこまでできるのかは疑問ですが、考えの整理のためと、今回失敗したとしても今後また同じようなケースがあった時のため、そして世の中にいるかもしれない同じ悩みを持つ人のために、僕が考えたことを記しておきます。

 家庭教師としてやってきた僕に求められていることは「1ヶ月~2ヶ月という短期的な時間スパンでの成績向上」ですが、勉強の習慣をつけるには通常はもう少し時間をかけなければなりません。 毎日というか日頃から勉強する習慣それ自体はまだしも、自分にあった力になる勉強のやり方を確実にものにするには半年~1年はかかっていいと思います。小学生~中学生の間はそんなこと考えないでもできたりしちゃいますし、半年~1年なら小学生~中学の間になんとかなるだろ!という意見はここでは「そうではないと思う」という意見だけ述べておきます。その年代の間に「自ら考え勉強の方略を試行錯誤する」というのはあまり一般的ではないと思います。

 とにかく僕はY君に自習をしてもらうよう働きかける必要があります。どうすればいいでしょうか?駆け込みの生徒に対して多くの塾がそうする可能性があるし、Y君のお母様が現実にとっているアプローチは「危機感を植え付ける」です。お尻に火をつけて勉強を強制的にさせようというものですね。ですが先程も述べたとおり、これは功を奏していません。
 コミュニケーションでのアプローチが難しい場合は、擬似的に「失敗したらお前はこうなるんだぞ」的な恐怖体験をさせ、より強烈に危機感を植え付ける方法が出てくるかもしれません。例えばY君のお母様は成績が悪いことで学校に呼び出されたことを「屈辱」と言っていました。このあたりが追体験で共有できればY君の危機感を呼び起こせるかもしれませんが、どうやらそういったチャンスは次の定期テストまでにはないようですし、次の定期テストでの失敗はおそらく「死」を意味します。この方法は実現不可能なようですね。また、本人のメンタルがそこまで強くもないようです。過度にストレスをかけるとかえって学習のモチベーションが低下する恐れがあると、Y君と接しているうちに気づきました。

 そうすると、「危機感を植え付ける」というアプローチはどうやら方向性的にうまくいかないようだ、という結論が出てきます。ではどうするか。
 僕に考えられるアプローチは勉強に対して危機感のようなネガティブな印象ではなく、何らかのポジティブな印象を持たせる、もしくは僕のようにネガティブでもポジティブでもないどちらかというとニュートラルな印象を持たせるというものです。
 ベネッセだろうがなんだろうが、多くの学習機関、また教師や予備校講師は「勉強は楽しいものだ!」ということをしきりに謳います。確かに知的好奇心を満たすことは快いですし、勉強を楽しむことは勉強の成果を高めることにつながります。これに関しては学術的なエビデンスもあるんじゃないかと思います。ですが、彼らの多くが謳っていることの多くは「勉強自体の自己目的化」を促しているような印象を僕は受けています。「勉強自体を楽しませる」アプローチは勉強の本来の目的である知識や考え方の修得を本来の目的から二次的な目的に転落させ、代わりに勉強させること自体を第一義的な目的においているように感じるのです。その場の結果的にそれはうまくいっているのかもしれませんが、それだと「勉強のスキルや効率のいいやり方」には何も重きが置かれなくなってしまう(現にそうかもしれません)可能性がある上に、どうしても勉強が楽しめない子供にとっては苦行以外の何でもなくなってしまうアプローチです。そしてそのような子供は多いことでしょう。世の中にはもっと楽しいことがあります。スポーツやサッカー、ゲームにアニメ、旅行に恋愛。上げたらキリがないですね。(笑)
 以上の点で、僕は「勉強を楽しませる、好きにさせる」といったアプローチに対しては異を唱える立場にあります。そもそも僕も勉強なんか好きじゃないです。東大生だって勉強はめんどくさいですし、やらなくていいならやりたくなんてありませんよ、ゲームしたいしデートもしたい(笑)

 では僕は勉強に対してどのようなスタンスをとって向き合い、東大に受かるために3年間勉強をし、大学に入ってからも燃え尽きることなく勉強をし続け、プライベートでも勉強をしているのか。
 先程一言触れていますが僕はどちらかというと勉強に対してはニュートラルな、ともするとドライな捉え方をしています。個人的な言い方を知ると「勉強は仕事=ビジネス」です。
 仕事は辛くても楽しくても、やらなければなりません。それはtaskであり、ある一定の目的のために必要なものです。勉強の目的はざっくり言えば「知識やスキルを習得し、社会でやっていける力を手に入れること」だと思っています。自分磨きですね。こうした目的があるからこそ目的をスマートに(つまり少ない仕事量)で達成するために効率のいい勉強のやり方を調べたり考えたり実践したりすることが可能になると思います。ビジネスとして成功させるために、会議もします。実績の振り返りもします、スケジュールを立てるときにゴールから逆算して行くところも何一つ変わりません。働いている方は特に馴染んでるんじゃないかなと思いますが、締切が何時なのかというところから、各作業の締切を細かく決め、最終的にその日の仕事、翌日の仕事のノルマを決めていくと思いますが、勉強も同じように決めていけます。
 勉強自体が目的ではなく、自分の能力向上など他の何かが目的であること、これがモチベーションが低い僕が勉強を続けてきた理由です。最も、心理学的には、内的動機付けが高い状態(=勉強自体が自己目的化している状態)で外的な動機付け(例えば金銭報酬等です)を与えると内的動機付けが低下するとかいうのもあった気がします。僕には常に勉強よりも楽しいゲームという存在があったので、決して勉強自体へのモチベーションは上がりませんでしたが、最初は外的な目的や動機付けを与えておいて、あとでそれを取り払うということが有効な例も大いにあると思います。そこはケースバイケースですが、やはり「効率の追求」という観点は「勉強の自己目的化」からは得られないような気がするので、卒業や進級をしないといけない学生、大学に受からないといけない受験生、テストや試験で点を取りたい人にとってそういうアプローチをとるのはベストな選択肢とは言えない気がします。遊びで勉強している人はどうぞって感じですね。
 「ドライな」僕からすると、ポジティブにしろネガティブにしろ、多くの人は勉強に対して「泥臭い」イメージを持ちすぎているなと思います。それは単に、勉強に対して「ビジネス的な思考=効率を求める思考が不足している」からです。根性論を始めとして古臭い感じの考え方が蔓延ってるように感じます。ぶっちゃけいって全くセンスがない。それはどんな先進的なベンチャー企業のうつ教育関係の企画からも感じるものがありました(企画自体は素晴らしいんですが、中身に対する考察というか配慮というかが甘すぎる。もちろん「一般受け」と「学問的なエビデンス」は必ずしも一致しないから仕方がないところもありそうですが、それはそれでクソだと思いますw)。最新の研究をしているであろう東京大学の中にいてもどこかそんな感じを受けます(笑)

 ここまで長々と書いたところで本題に戻りましょう。これで「ポジティブな」アプローチと「ニュートラルな」アプローチの立場については話し終え、僕が後者の立場であるところまでは大丈夫でしょう。
 僕は4日後の指導の際、そして同じような場面が今後あった時に具体的にどうするか。すでに今までの指導の際にもしていたなと、今になって気づきましたが、陳腐なことに「相手の理性・理解力を促し、信じながら説得をする」んだと思います。状況を説明し、僕が正しいと考える「自分磨き」という目的と、留年回避という近々に迫った目的のために、「納得した上で」とにかく勉強をしてもらうように促します。ただし、最初に行ったような「ただ危機感を植え付けるような」アプローチはしません。あくまで勉強に対しては「ただ必要だからやる」それだけに留めます。結局は本人の問題というところは変わらないし、説得のスキルも高めないといけないし、問題は山積みですが、ビジネスとしての立場は「超一生懸命説得してもダメなやつは、客としては無理」です。僕にもお客様を選ぶ権利があります(笑)。「結果が出ない」という名のクレームはサービスを提供している僕としては、「こちらは上手くいくように先導しているのに、お前がついてこないんだから当たり前じゃんw」と返すところです(もちろん付いてきて貰えるようにサービスの改善を図ることはするでしょうが、限界はあるでしょう。そしてここは限界の話です(笑))そんなお客様を相手に商売は長くは続かないでしょう。遅かれ早かれどちらかが契約の打ち切りを申し出る未来が見えます。逆にその辺りの結果が出ない原因の分析を間違えず(こちらに対する正当な評価をしていただいているということですね)、教育において短期的な結果を求めるのが難しいということをご承知の親御さんなら、長期的な視点から今後も指導をお願いしてくれることは十分に有り得ると思います。そういう懐の深いケースは塾講師として何度も見てきています。

 書きながら思いましたが、おそらく教育業界においては親御さんの教育観も変えていく必要があるでしょう。塾への駆け込みをしてくる人は未だにたくさんいますが、正直言って手遅れ感がすごい(笑)これも教育においてはすぐに結果を出すのは難しいということが染み付いていないということの表れだと思います。これはさすがに最近叩かれまくりの政府でも分かっていて、きちんと法律にも長期的な視点が組み込まれてます(笑)
 今回は指導日にテストが終わる関係で指導の振替を打診しましたが、「テスト前は忙しいので指導はいいです」という理由で拒否されました(笑)むしろテスト前だからこそ行ったほうがいいのでは・・・という気がするのですが・・・結果が出なかったときはその一要因として挙げさせていただくことにしますかwでも、テスト前に指導をすることで本当に有効なのかどうかは、チャンスがあれば検討をしてみたいところです。本当に有効でないのなら引き下がらないといけないですしねー

 そんなわけで長いけど今日の雑感はおしまい。
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